あやまちの恋に出逢って
続きまして。真打、メアリ・バログの新作!
あやまちの恋に出逢って (ライムブックス) (2014/10/10) メアリ バログ 商品詳細を見る |
の感想です。
(余談ですが、今まで読んだバログ作品はたぶん全部、山本やよいさん訳。とてもしっくりと馴染んでいて好きだったのですが、今回は違うので少し残念。一つ前の感想の「悪しき~」の訳は山本さんでしたが 笑)
さて本題。
本当にメアリ・バログ好きなのです。
決して楽しい話じゃなくすごく重いのですけど、読み終わったときのあの感覚がたまらなくて。
今回もまたヒーローがとにかく繊細。そしてヒロインの神経が尖っていることと言ったら。
でも、二人が出会って同じ時を過ごし、互いがかけがえのない存在になっていくその過程が自然で、気付いたら物語に魅入られている。
設定は、え、いいの?と思うくらい
秘密の真珠に (ライムブックス) (2014/03/10) メアリ バログ 商品詳細を見る |
でもまったく別の物語だと思います。
一番好きなシーンは、ヒーローが初めてヒロインに洗礼名で呼んでもらうところ。
そこが新たな関係の始まりのように思えました。
とてもとても傷ついて、それでも傷つくことを自分に許さなかったヒーローがヒロインと語らうなかで、傷ついた自分を受け入れ、取り戻す。
そして、ヒロインはヒーローを救うことで自分が癒されていくのです。
誰かを必要とすること、誰かに必要とされることってとても大切なことなのでしょう。
でも、そうすることに恐怖を感じていたなら、誰かに縋ることを自分に許さなかったら。
それは自分も周りの人も不幸なのだろうなあ。
二人が自分自身を修復するその過程は痛々しくて、とても辛い。
守りたくて隠していた自分を出すのだから楽なわけがなくて。
けれど、傷は濯がなければ治らないのです。
バログの作品のホットシーンはホットというより陽だまりの様な温かさをたたえていて、ずっとそこで温もっていたくなるのです。
洗って、陽にあてて、そっと手をあてる。
そしたらいつの間にか傷が癒えている。そんな感じ。
バログの作品がなぜそこまで好きなのかといえば、たぶんヒーローとヒロインに対して世界が優しくないから。
それでも、たとえ痛みを抱えていても二人は幸せになるのです。
そこに夢を抱くのだと思います。
世界ってやっぱり優しくない。けれど、きっと生きていける。そんなふうに思う力を、信じる力を与えてくれるのです。
また読みたくなってきた。
もっとバログ作品が読みたいなー。ベドウィンシリーズもハクスタブルシリーズも早く読まなくては。