ストーナー
今日はロマンスでない小説の感想を!
ストーナー (2014/09/28) ジョン・ウィリアムズ 商品詳細を見る |
この作品を知ったきっかけはTwitter
翻訳家の東江一紀さんの訃報とともに、絶筆となった作品としてTLにたくさん流れてきたのです。
私は東江さんを知らなかったのですが(といっても翻訳家さんに詳しいわけでは勿論ないのですが)、多くの翻訳家さんたちの憧れの人だということを知り、興味を持ったのでした。
結論から言えば、「完成度が高い」なんて言葉はただ読んでいるだけの人間が言えるものじゃないだろうと思いつつも、
無駄がなく、それでいて何一つ不足がない物語だと感じます。
そして、少しでも具体的な内容に触れようものなら、初めて読む人の感動や気持ちを壊してしまいそうな。
そんな繊細さがあります。
序盤は、何故かおじいさんのカサカサになった手のひらが思い浮かびました。
手って乾燥すると服の繊維などがひっかることってあると思うのですが、そんなザラザラの手で頬を撫でられているような、そんな心地がしました。
普通ならそれって痛くて不快な筈なのに、おじいさんの手のぬくもりも一緒に感じて、同時に優しさにも包まれたような気持ちでした。
中盤は、開かれた本から真っ白な光を感じました。
太陽が一点から陽を注ぐように、ほんとうにまっすぐで、眩しすぎて前が見えないくらいの光。
そしてずっとつき纏いつづける影。
後半は、大きくて無骨な手が必死になって締め上げてきた紐が、ゆるゆるとほどけていくような。
きっと未読の方は何を言ってるのかわからないと思います。
既読の方はもっとわからないかもしれません。
感じ方ってきっと皆違うので。
でも、きっと何かを得られる作品だと思うのです。
それが何なのか、何と呼べばいいのかも分らないのですけれど。
東江さんという翻訳家さんに、ファンが多いのも凄く納得しました。
カタカナが本当に少ないのです。
固有名詞以外、すべて日本語だったんじゃないかと思います。
こんな言葉があるんだ!とか、細かく覚えているわけではないけれど日本語って多様だな、とあらためて思いました。
つかず離れずの語り口が、より一層の優しさをもって物語を紡いでいたと思います。
少しずづでもいいから、東江さんの翻訳された作品を読んでいきたいなと思います。
次に読む東江さん訳の作品は、おすすめしていただいた
ストリート・キッズ (創元推理文庫) (1993/11) ドン ウィンズロウ 商品詳細を見る |
になると思います。
とっても楽しみです☆